エンタメノート

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「ショーマストゴーオン」の難しさ ~宝塚 花組「鴛鴦歌合戦」大千秋楽によせて~

2023年10月8日、花組さんの「鴛鴦歌合戦」「GRAND MIRAGE!」が無事に東京大千秋楽を迎えました。

花組の皆さん、良い舞台を見させていただき本当にありがとうございました。そして3か月間の公演、本当にお疲れさまでした。別箱集合日まで時間は少ないかもですが、ゆっくりしてほしいです。ごはんいっぱい食べて元気出してほしいなあ…

 

鴛鴦歌合戦 感想

鴛鴦歌合戦、最初は「れいちゃんで和モノ?オペレッタ?」みたいな感じでちょっと皆さんの期待値が低めでしたよね(笑)柚香光といえば軍服!金髪!みたいな演目が似合うイメージの方が大多数でしょうからねえ。

ところが始まってみたらこれがまた面白い。原作映画になかったお家騒動のエピソードを足して、いかにも宝塚らしいキャスティング&設定になったなと思います。


とにかくれいちゃん演ずる礼三郎さまがかっこいい!!この一言に尽きます。大千秋楽の挨拶で「裾をはだけてお見苦しいところも…」と謙遜したれいちゃんですが、なにをおっしゃいますやら。鍛え上げられたれいちゃんのおみ足、見事でした。見ていて全く女性を感じさせない、引き締まった筋肉がキレイについたステキなおみ足にただただ茫然です。柚香光は本当に見事な「男役」ですね!

そしてまどかちゃん。ちょっと舌ったらずな幼いしゃべり方が可愛いのよ。礼三郎さんが好きなのになかなかハッキリ言えなくていじらしい感じがとてもよく伝わってきました。

ひとこちゃんのヲタが一番「ええ~~~~、バカ殿役~~~~???せっかく2番手に昇格したのにいいいい???」と疑問符たっぷりだったに違いない、今回のお役。おそらくこんなひとこちゃんを見られるのはもうないかと思うくらい(笑)突き抜けて明るいご陽気なお殿様で、ひとこちゃんの芸達者っぷりが堪能できました。

ほのかちゃんとみそまるくんのコンビが東京ではかなり進化してましたね!「いやじゃいやじゃ~!」の振りのシンクロっぷりや、舞台をはけるときに謎のジャンプをしていったりとか、芸が細かい(笑)

あとはおとみちゃんの一行がもう出てくるだけで毎回面白い。いいところで「せんせえええ~~!」って突撃してくるのめちゃ面白かったですね。三吉役の天城れいんくんは見事に代役をモノにしましたね。当初はらいとくんの予定だったと思うのですが、らいとくんだともっとかっこいい三吉になっていたのかな。でもれいんくんの三吉、本当に良かったですよ。

GRAND MIRAGE! 感想

こちらも発表された当初は「ロマンチックレビュー??古臭いよね」みたいなご意見が多く、やっぱり期待値低めだったと思います。が、いやいや、ふたを開けてみたら古臭いことはなく、ザ・王道なレビューで私はとっても好きなショーでした。たぶん皆さんが思う「タカラヅカ」ってこういうのよね、っていう基本中の基本みたいな。

冒頭の娘役さんの大きなお帽子(おぼうぼうっていうんですね)がロマンチックレビューではおなじみなんですかね?

見どころはなんといっても「シボネー・コンチェルト」です。もともと1986年月組の「ラ・ノスタルジー」、1994年星組の「ラ・カンタータ」以来の再演ということなんですが。

あの木琴?マリンバ?か何かの「テケテケテケテケテケ」のイントロだけでもう血が燃えたぎる!!!
組子全員がとにかく全身で踊りまくる!宝塚でこんなに激しいダンス見たのが初めてでもうずっとテンションぶちあがりすぎてヤバイ!!この演目見てるだけでこちらもショー3つ分くらいの体力消費した感あります(笑)

配信で見てると背景の金色のメラメラと、組子さんたちのびらびらした袖やらの動きが早すぎてハレーション起こして画面がガビガビに(笑)

もうシボネー大好き芸人になりました。

「ジュテーム・ジュテーム」の場面も東京大千秋楽は素晴らしかったです。退団するキョンさん、しいさま、うららちゃんたちの熱唱が素晴らしく、またそれに万雷の拍手が送られました。指揮の佐々田先生もそれに応えてすごく長く拍手の時間を取ってくれて、胸が熱くなりました。

デュエダンはもう言わずもがな。「れいまど尊い…(号泣)」しか言葉が見つからない語彙力ゼロな状態になります。この二人は本当に幸せそうに踊るんだよ…

れいちゃん、まどかちゃんは来年の退団公演が1本ものなので、「本公演でのショー」としては今回の「GRAND MIRAGE」が実は見納めになるのですが、とても良いショーだったと思います。

退団者の皆さま

今回退団するのは
航琉ひびきさん(93期)
和海しょうさん(94期)
春妃うららさん(97期)
と、いずれも皆さん花組一筋の方たちばかり。キョンさんって93期だったのね…もっと上級生だとずっと思っていました。

3人とも私が花組さんを見始めたころからおなじみのメンバーなので退団はとても寂しいです。キョンさんとかゆくゆくは組長とかでずっと居てくれるもんだとばっかり…

れいちゃんとの挨拶も、期が全員近いこともあってすごく和気あいあいとしてて、仲良かったんだろうなあとしみじみしました。特にしいさまとは、ムラの挨拶で「分担さん」だった事実も判明し、永遠の「先輩」なのがめちゃくちゃ伝わってきました。

(しいさまより上級生のキョンさんのことは普通に「キョンさん!」って言えるのに、しいさまには「しいちゃん」と呼べずに「かず…あ、しいちゃん」みたいな感じでいまだに気軽に「しいちゃん」呼びができないれいちゃん愛しい)

ショーマストゴーオンの難しさ

さて、こんなに楽しかった東京大千秋楽ですが、ここに至るまでの道のりが本当に厳しく、柚香光という人は本当に苦難の道を歩み続けているなあと思い、こちらまで胸が苦しくなってきます。なぜれいちゃんにここまで試練を与えるんだ。

まだ公式にアナウンスがない()ので憶測でモノを言うのはしたくないのですが、現役の生徒さんが亡くなられたというのは事実。組は違えどジェンヌさんたちのショックは計り知れません。

そんな中、突き抜けに明るい「鴛鴦歌合戦」を演じなければならないジレンマ。見ているこっちは楽しいけど、演じてるジェンヌさんたちは心から楽しく演じられただろうか。どこか苦しい想いを抱えたまま、無理して笑顔を作ってくれてた場面もあったかと思うと本当にやるせないです。

ただ、彼女たちもプロです。お金を頂戴しているのですから、プロとして舞台を務め上げる使命があります。「ショーマストゴーオン」の精神で何が起ころうとも舞台を続けなければ、と思う人もいるでしょう。

「ショーマストゴーオン」という言葉は、某J事務所の騒動の際に某氏がこの言葉をSNSでつぶやいてフルボッコされてましたが、この芸能界で当たり前だと思っていた言葉は、フルボッコされてしまうほどのモノになり下がったのでしょう。それだけ芸能界は「非常識」で成り立っていた世界なんだなあと思うわけです。

(じゃあ何でもかんでもすぐに休演にすればいいのか、って言ったらそれはまた違うと思うんだけど)

ここ最近の出来事で、芸能界全体がこれまで当たり前だと思っていた概念を大きくひっくり返す、時代の転換期に来ているのだなと感じます。今後どうなっていくんでしょうね。